ALOYE x G.F.G.S.

日本有数のニット産地として知られる、新潟県加茂市。ALOYE 2014秋冬コレクションでは、このまち発のファクトリーブランドG.F.G.S.とのコラボレーション商品を発表する。加茂市はALOYEの設立メンバー3名の故郷でもあり、その故郷でALOYEの商品を作ることは、ブランド立ち上げ当時からのメンバーの願いでもあった。そんななか、昨年、メンバーのひとりが加茂に暮らす知人からG.F.G.S.の存在を伝え聞いたことがきっかけとなり、ALOYE × G.F.G.S.がスタートすることになる。そして2014年3月には、G.F.G.S.の創設者小柳雄一郎さん案内のもと、メンバーは商品の魅力を探りに生産現場を訪ねた。今回、その断片を小柳さんのインタビューとともに紹介する。

写真・映像/谷口巧 取材・文/水島七恵

— 小柳さんがそもそもG.F.G.S.を始めた理由を教えてください。

今、世の中にはボーダーのカットソーを作っているメーカーがたくさんあって、どれも確かに素敵なんですけど、「これだ!」と心から思えるものが僕自身はなかったんです。僕はスウェットのような肉感のある、かっちりとした生地感が好み。それでいて、つっぱり感のない柔らかな風合いの着心地の良いものを求めていたんですけど、なかなかなくて。だからG.F.G.S.では、自分が着たいと思えるものをまず発信したいという想いがありました。

— G.F.G.S.の特徴のひとつに、完全受注生産(※ALOYE × G.F.G.S.は例外)で、1点1点手作りしていることが言えると思いますが、このようにした背景はなんですか?

毎年トレンドも変わるし、人の気分もそのときどきで変わるじゃないですか。それに対応できるメーカーにしたいと思ったんです。そのためには欲しくなったらすぐに作れる体制が必要で。だからG.F.G.S.は完全受注生産の体制にしました。それを実現するためには、「町内生産」と言える距離感で地元の協力工場さんとやり取りをして、目の届く範囲でものづくりをする必要がありました。

G.F.G.S.の生産現場見学は、まず加茂市寿町にある編み立て工場「米田編立」へ。雑然とした倉庫のなかには、横編機が並び、米田3兄弟が年中無休でオペレーションしている。G.F.G.S.の生地はアメリカ・テキサス産のオーガニックコットンを100%使用。輸入したオーガニックコットンは、日本の紡績工場で糸になり、その一本の糸をこの横編機を使って、パーツごとに編み立てをする。オーガニックコットンは気温や湿度で編み上がりの品質が変わりやすいため、編み上げの過程でその都度編機の調節が必要。またG.F.G.S.のカットソーは、製品の柔らかさを出すために低速で、時間をかけて丁寧に編み上げているが特徴だ。

— 町内生産ができる。それはとても貴重で、恵まれた環境ですね。

加茂市も含めた新潟県中越地方は、昔から繊維やニット、織物が盛んな地域として知られています。後継者問題もあり、昔よりも衰退はしているものの、今も大手アパレルメーカーからの支持を受けていて、町に点在する小さな工場が無数の商品を生産しています。そういう土地柄、僕の実家も縫製業(小柳メリヤス)だったので、そこで得た経験と周囲の環境をベースにすれば、自分のやりたいG.F.G.S.のシステムを作ることはできると確信していました。G.F.G.S.の立ち上げ準備期間は2年かかっているんですが、それは原料となる綿糸の選定に時間をかけたというだけで、そのほかの作ることに関しては何も心配はしていませんでした。

編み立てを終えた編地は、次に「整理」という工程へ。高温のスチームを当て、生地をきゅっと縮ませながら編み目を整えるこの工程は、加茂のとなり町の田上町にある、親子2代で経営している整理工場「坂上ニットプレス」で行われている。整理をすることで、生地の目が詰まって品質が安定し、裁断・縫製がしやすくなるそう。また整理の過程で行う洗いでは、G.F.G.S.のオーガニックコットンの風合いを殺さないために、柔軟剤を一切使わず洗いにかけているのが大きなこだわり。

— 産地や作り手の顔が見えるものづくりが支持される今の時代に、“加茂発”のカットソーブランドというのは、G.F.G.S.の大きな個性に繋がっていると思います。

そうなんです。ただ、一方で思うんです。“made in 加茂”であることは事実。だからそこを紹介していただくことはうれしいのですが、でも例えばそれで「地元愛、加茂愛を感じます」とか言われてしまうと、僕自身はちょっと引いてしまうところもあるんです。僕は10代の頃から映画や音楽が大好きで、その当時からシルクスクリーンで自分だけのオリジナルのTシャツを作ったりしていました。でも、加茂に自分のそういう感覚を共有できる人が全然いなかったんです。だから僕はすごく孤独で毎日悶々とし始めて。それから社会人になってまずは刃物関係の職人として働いて、その後、2008年から実家の縫製工場と地元の協力工場とともに糸の選定からはじまるTシャツ、カットソーのボディの制作を始めるんですけど、そこで僕はさらに悶々として(笑)。というのも、縫製業界で働く人たちもまた、服が大好きでこの世界にいるのではなく、あくまで職業として捉えている人が多かったから。

— 小柳さんのような価値観を持った方は、ちょっと異端児だったんでしょうか?

そうですね。当時、OEM生産を請け負っていたのですが、日々、どこのブランドの服を作っているのか、そしてどこで売られているのかもわからない服を作ることも多くて。例えば「この工程はもう少し丁寧にやりたい」と問屋さんに相談しても、僕らの意見はほとんど通りません。それが当たり前の縫製業のなかで、ずっとその環境に疑問を持っていました。その後リーマンショックがあり不景気の時代に入って、問屋さんがつぶれたりして、ここでのダメージが大きかった。でもそれがG.F.G.S.立ち上げへの後押しになっているところがあります。今までの縫製業の在り方ではだめだと。自分たちのやり方で、新しいメーカーを立ち上げようと思ったんです。

整理を終えた後、再び加茂に戻って裁断の工程へ。この作業は小柳さんの実家が営んでいる「小柳メリヤス」にて。伸縮性によって形態が不安定なニットは、裁断の精度が次の縫製の品質を左右する。編地に歪みがなく安定しているか、編地の上下方向があっているかなど、見極めながら裁断しなくてはならず、ここでも熟練した技術が必要不可欠。小柳メリヤスでは、1着1着、丁寧に手で裁断している。

— ALOYEとの出会いは、加茂という土地が繋いでくれました。

2013年の夏かな。まだ内装中のG.F.G.S.ラボで、ALOYEさんと初めて会いました。会った瞬間、「うあー!この世代が遂に来た!」と思いました。それで、話を伺っていくと、彼らは加茂がニット産業で栄えていたことを実感として持っていて、だからALOYEという洋服メーカーをやっている以上、いつか地元で商品を作ってみたいと考えていたと言うんです。彼らのような若い世代が県外に出て活躍しながら、そこで地元に愛を感じて、地元で何かをやりたいと言う。僕と世代も視点も違うと、地元に対する印象もこんなにも変わるんだ!という新鮮さがありました。すぐに何か一緒にやりたいですねって、お話して。

— こうして今回、ALOYEの2014年秋冬コレクションにおいて、G.F.G.S.のボーダーをベースとしたALOYE別注アイテムが8型発表されることになりましたが、ALOYEからはどんなリクエストがあったんですか?

「パターンはALOYEのもので、糸の色やボーダーピッチなどもできる限りALOYE指定でやりたいです」、というようなリクエストをもらいました。それで実際企画に入るわけですけど、例えば彼らは糸の色をPANTONEの色見本で指定してきたり、ニットに入る柄も一目一目数えて調整してきますし……、その、細部へのこだわり具合が、なんというかグラフィックデザイナーらしい視点なんです。自分だったら絶対に思いつかない配色やパターンの切り返しを提案してくるので、そこでのやりとりが面白かったですね。微妙に太さが違うボーダーもあったりして、その辺りがまたいい意味でいやらしい(笑)。

— 純粋に、ものづくりをする者として、刺激を受けたのですね。

だから僕らは、編みの段階から縫製まで、彼らの希望をきちんと実現することを目指しました。ちなみに素材はすべてG.F.G.Sと同じ、有害な化学薬品を一切使っていない、ピュアオーガニックコットンで作っているので、肌触りがとても良いのもこだわりです。ところでG.F.G.S.はブランドとして今回初めて本格的なコラボ商品を作ったんですよ。その最初のお相手がALOYEさんで本当に良かった。色々苦労もありましたが、自信作ができたと思うので、ぜひいろんな人に知って着てもらえたらうれしいです。

縫製、そして最後出荷の作業は、加茂駅前の商店街にある老舗パン屋千代田ベーカリーの2階に構えているG.F.G.S. DESIGN LABで行われている。DESIGN LABは、縫製、出荷を行う工場でありながら、事務所兼ショップとしても機能。着心地が良くて、何回洗濯してもほつれずに丈夫に長持ちするように、一手間加えている。こうして編み立てから縫製・出荷までのすべての工程を、半径約5km圏内の言わば、町内生産で行っていることが、G.F.G.S.の個性であり、小ロットで高品質のオーダーを請け負える強みに繋がっている。

G.F.G.S.とは

オーガニックコットン100%の原糸にこだわったカットソーを、地元新潟県加茂市の家族・協力工場による「町内生産」で製造販売するファクトリーブランド。
G.F.G.S.


ALOYE × G.F.G.S.コレクション〈コットンニットセーター〉と〈ワンピース〉について

オーセンティックなG.F.G.S.のレギュラーアイテムのパターンやディテイルが、ALOYEの別注によって、どちらもより現代的なアイテムにチューニングされている。〈コットンニットセーター〉は、細めの袖幅、シャツをレイヤードすることもできる広すぎない形状の襟ぐりパターンが特徴的。ディテイル面においては、スウェットシャツをモチーフにしながら、襟ぐり、袖口、裾をリブ仕様にすることで、G.F.G.S.特有の太番手でソフトな天竺の素材感を活かしたセーターに仕上げた。一方、レディースアイテムである〈ワンピース〉は、少し広めの襟ぐりをしたクロップトスリーブで、ボトムをあわせることもできる着丈に仕上げている。

〈コットンニットセーター〉
サイズ:XS、S、M、L、XL(ユニセックス)
カラー:5色
価格:¥13,000(税別)
発売:2014年9月上旬

〈ワンピース〉
サイズ:ワンサイズ
カラー:2色
価格:¥16,000(税別)
発売:2014年9月上旬

取り扱い店
Aloye Store(オンラインストア)
dupon35(富山)
BEAMS T(原宿、その他)
LEN(大阪)
Kapok(香港)

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また、このコレクションのスペシャルアイテムとして雑誌PAPERSKYとのトリプルコラボレーションアイテム〈PAPERSKYロングスリーブ〉も発表。くわしくはこちら